在宅見守り自動通報システムの仕組みやカスタマイズと拡張性

在宅見守りシステムの一つに、自動通報システムがあります。センサーやカメラが異常を感知して、通報します。

自動通報システムで使用されているのが、人感センサーです。

人感センサーとは、人の体温に反応して機器を作動させるためのセンサーの総称で、身近なところでは自動ドアや照明、蛇口などに使われています。

人感センサーの感知距離は約5〜8mなので、設置する際は感知する範囲に置いてください。

高齢者が転倒するおそれのある階段をはじめ、主要となる生活動線に設置しましょう。

注意点としては、システムを設置したことにより安心してしまって、然るべき介護計画が立てられなくなることです。

住宅のバリアフリー化や介護付き老人ホームへの入居など、本来実施すべき介護ができなくなると、高齢者の居住における安全性を逆に低下させてしまいます。

自動通報システムはあくまで選択肢の一つなので、システムを導入したからといって安心せずに、高齢者の方に最適な介護計画を立てましょう。

在宅見守り自動通報システムを利用する場合、人感センサーを自宅に設置します。

日常的にベッドの上で生活している高齢者が利用者だとします。

利用者である高齢者がトイレに行こうとした際に、ベッドから転倒してしまったり、倒れてしまったりすることがあるでしょう。

この場合、長時間ベッドの上の利用者が感知できないことで普段との違いにセンサーが異常事態だと認識して自動通報します。

また逆に、一定時間身動きがないことで異常を感知して自動通報をするタイプのシステムもあります。

こちらは主に廊下やトイレ・浴室などに設置され、高齢者がなんらかの理由で意識を失うなどのトラブルを検知できるようにします。

このようにセンサーが生活リズムの異常を検知して、利用者がボタンを押さなくても、自動的に通報するのが在宅見守り自動通報システムです。

カメラで撮影しているわけではないので、そのままの映像が記録されることはありません。そのため、監視されているというストレスを、利用者が感じにくいことがメリットと言えるでしょう。

その後の対応は契約する会社ごとに異なりますが、利用者の自宅に連絡をして救急車の要請をしたり、家族に連絡をとったりといった状況に合わせた対応をしてもらえます。

また、そのような自動通報システムのほかに、自分でボタンを押して通報するタイプの緊急通報システムもあります。こちらの場合には、直接通話ができるタイプのものや、担当者が利用者のところに駆けつけて状況に合わせて対応するタイプがあります。

突発性の持病などがなく、自己判断をする余裕がある高齢者の方におすすめです。

現在の在宅見守りシステムは、一つだけで完璧とは言えない状態です。そのため、複数のサービスを契約している方も珍しくありません。

複数のサービスを利用する場合は、別々のサービスをそれぞれに契約する方法が基本です。ほかには、他社のサービスと連携して利用できるケースも増えてきています。

◇ 一つでは不十分な理由

例えば、自分でボタンを押して通報するタイプの在宅見守りシステムは、一見完璧そうにも思えます。しかし、利用者が転倒して立ち上がれなくなってしまったり、急に意識がなくなってしまったりする可能性があります。

そうしたとき、利用者自らがボタンを押して通報することは困難です。そのため、ボタンを押すタイプの見守りシステムだけでなく、カメラ型の在宅見守りシステムや、センサー型の在宅見守りシステムを契約しておけば、緊急事態に気づけるでしょう。

◇ 緊急駆けつけサービス

カメラ型の在宅見守りシステムを利用する場合、倒れている状況がカメラに映れば家族が遠方にいたとしても救急車を要請できます。しかし、カメラに利用者が映らなくて何が起きているのかわからない場合、状況を把握することができません。

そこでおすすめなのが、緊急駆けつけサービスの併用です。カメラ型と駆けつけ型の二つを契約すれば、このような事態をカバーできます。家族がカメラで異変に気づかなかったとしても、ガードマンが駆けつけて必要な対応をしてくれます。

一つでは機能しないような事態でも、二つの機器やサービスによって、緊急事態を把握して対応することが可能になります。

高齢になると普段は健康で元気に生活していても、急に体調を崩してしまったり、転倒してしまったりすることもあるでしょう。慢性疾患を抱えていたり、足腰が弱っていたりする場合にはなおさらです。

結婚や仕事の関係で離れて暮らしている方も多く、高齢の親が一人暮らしをしていれば、健康であっても心配でしょう。

このような悩みを抱えている方が注目しているのが、在宅見守りサービスです。

現在、在宅見守りサービスには様々なタイプがあります。その中から家族のニーズや、利用する高齢者の性格や要望に合わせて選ぶことになります。家族や高齢者の環境や、抱える状況は多岐にわたっているため、すべての方が安心して利用できる在宅見守りシステムというのは今のところ見つけるのが難しいというのが現状でしょう。

◇ 見守りシステムは高齢化社会に合ったサービス

内閣府が発表した「平成30年版高齢社会白書」によれば、高齢者は約656万人にのぼるとされています。また、2035年には人口のうち841万人が高齢者になると言われています。これに対応するかのように、東京都監察医務院の発表によれば東京都23区における孤立死者数は、2003年が1,451人だったのに対し、2015年には3,127人にまで増えています。

このように高齢化が進み、高齢者の孤立死の増加が懸念される現代においては、在宅見守りシステムを活用して事故を未然に防ぐ必要があります。そんなニーズに応えるためには、カスタマイズやオプションの増加などが今後の課題と言えます。

また、他社の在宅見守りシステムとの連携についても、今後ますます開発や研究が進められるでしょう。